愛犬が変わるたった一つの方法

あなたが変われば愛犬が変わる。BSKが綴る「飼い主さん矯正マニュアル」

【お悩み改善】悪癖を直すための2つのヒント

 

この記事は前回の続きです。

dogbsk.hatenablog.com

このページでは、手足を舐める癖が直らず困っているというお悩みについて、具体的な対策についてをお伝えします。

十分な運動の効果

飼い主さんの気を引こうとしていることが癖が直らない原因となると、精神的な問題であると考えて心にアプローチしようとしまいがちです。

しかし、最近では人間のうつ病においても予防や改善方法として、運動をすることや太陽の光を浴びることなどが効果的と言われている通り、実は精神面の改善のためには肉体へのアプローチの方がずっと直接的で効果的です。

我々は動物、つまり動くものとしてのあるべき姿を損なわないことが、元気になるために必要不可欠です。

運動の量と質を満たすための工夫

BSKのこのブログ内でも何度もお話しているように、現代犬たちは圧倒的に運動量と質に課題があります。

飼い主と一緒に歩くだけの散歩では必要な量と質を満たしていないことが考えられ、今回のような悪癖に限らず、様々な疾患の根本原因となっているとBSKでは考えています。

特に猟犬や牧羊犬など走ることを仕事にしていた歴史がある犬は、小型犬であっても思った以上の運動量が必要で、歩くのではなく走らせなければなりません。

また運動の質の面では、犬は人間の仕事を手伝わせるために選択繁殖されてきた歴史のある動物であることから、飼い主と関わりながら遊べることに対してとても意欲的で、精神面での満足にもつながります。

ボール投げや穴掘りや宝探し、追いかけっこなど愛犬が夢中になる好きな遊びを見つけるためにいろいろな遊びを提案して、そしてそれを一緒に楽しんでみてください。

例えばレトリーバーならボール投げなどが回収犬としての本能が満たされる遊びであるなど、犬種の歴史から好きな遊びを考えてみるのも面白いと思います。

また、犬たちは自然の状態では、あちこちの匂いを嗅ぎながら歩き回っています。できれば草や土のある所で自由運動ができる機会を作るなど、散歩の時間を単調にしない工夫についても見直してみましょう。

このように犬の性質や習性を踏まえた運動によって心身が満足すると、精神的にも落ち着き、寝ている時間も増え、手持無沙汰で手足を舐めたり噛んだりする時間も減ります。

ドッグトレーニングの効果

レーニングは、悪癖によって飼い主の気を引くことに変わる健全なコミュニケーションです。

「①○○をしたらいいことが起こる」という行動パターンを利用して望む行動へ導くというのがトレーニングの原理ではありますが、スワレやフセなどができるというだけでは単なる「芸」と変わりありません。

家族として迎えた頃は熱心に練習していたと思いますが、もうスワレもフセもできるようになったから特にトレーニングはしていないということはありませんか?

今も絆を深めるコミュニケーションとしてのトレーニングの時間を作り、愛犬と向き合うことにモチベーションを保ち続けているでしょうか?

 

犬の精神を落ち着かせるため最も必要なのは、飼い主さんとの確固たる絆です。

飼い主さんはトレーニングを通じて、強要されたり叱られたり愛犬が嫌な思いをすることなく、必ず望む報酬(褒められる、望みが叶うなどのご褒美)が得られたり、チャレンジする楽しみを共有したりを積み重ね、信頼に値する存在であることを証明し続けていかなければなりません。

犬たちは芸ができるようになったことをゴールとは考えておらず、飼い主さんと心をひとつに取り組むことを楽しみ、それを生涯積み重ねることを望んでいるのです。

飼い主さん自身の心も整える

今回のような自傷癖や分離不安症など愛犬の精神面に由来する症状が出た場合は、犬の精神面の問題とは限らず、飼い主さんの日ごろの愛犬への接し方、もっと言うと飼い主さん自身の心の在り方を整える必要があるケースも見受けられます。

今回のお悩みのように、ずっと手足を舐めていることを気に病み、心配の意識を向けている状態というのは、愛犬の「気を引きたい」という想いを叶えると同時に大きなストレスにもなっていきます。

ずっと注目を浴びる状態というのは、ずっとスポットライトを浴び続けているのと同じことだと考えてみてください。それは一時気持ちを高揚させるかもしれませんが、ずっと光を浴びていたらまぶしすぎるし、熱いし、苦しくなって、それでも逃げ場がなければしまいには病気になってしまうかもしれません。

ストレス耐性には個体差がありますが、悪癖によって飼い主さんの気を引くという不健全な愛犬の表現と、愛犬の様子を気にかけ常に心配の念を向けて愛犬を疲弊させてしまう飼い主さんとの共依存状態になってしまっていないか、このような悩みがある時こそ、愛犬と程よい距離感を持てているかをあらためて見つめ直すタイミングなのかもしれません。

飼い主さんが変われば愛犬も変わる

最近では分離不安等ストレス緩和のために、犬にも精神安定剤サプリメントなどを使用するケースも見受けられることからも、現代犬たちの運動とトレーニングへの理解不足が深刻であると言わざるを得ません。

運動やトレーニングを通して愛犬と向き合うことは、薬やサプリメントを与えることよりも、時間も労力も要り、飼い主さんの負担は大きいかもしれません。

しかし犬と暮らすと決めたからには、愛犬のために本当にしてあげなければならないこと、かけてあげるべき愛情の方向性についてを、愛犬の立場になって考えてあげる必要があると思います。

 

このブログのタイトル「愛犬が変わるたったひとつの方法」の答えは、飼い主さんが変わることです。

なにか愛犬との間に悩みが生まれた時には、飼い主さん自身ができることの中に改善点があります。

愛犬を変えようと病院に通ったり、悪癖をやめさせる方法を試してみるだけでなく、今回の内容をヒントに、本当に愛犬が望むことと向き合ってみてください。

すでに運動もトレーニングもやっているという方も、少し視点を変えて、より愛犬に合うやり方がないかを試してみてください。

愛犬とのすれ違いをなくしていくことは飼い主さんにしかできないのです。