食べるフードを探すことを超える特効薬④ 愛犬と共に人は成長する
このお話は連載です。前のお話はこちら
ようやく正しさから解放された
こうして私は長年握りしめた正しさ、自分を苦しめた漠然とした不安から解放されていきました。
2頭目の子には、置きエサはしない、人間用の味付けの物を食卓から与えないなど最低限のしつけ上のルールだけを設けて、ドッグフードにも手作り食にも傾倒することなく、その時の気分や時間や食材の有無、健康状態などによって食事の用意をすることができるようになりました。
これまでのように、食べない日があっても消沈することもなくなり、次はもっとおいしいものを作ってあげようと思えるようになったのです。
その子ももう今はいませんが、元気なうちからいろんな美味しいものを食べさせてあげることができました。
ずっと絶対無理だと思っていた運転免許も取って、あちこち一緒に出掛けることもできました。
最期は同じように病気になって食事が食べれなくなったりしましたが、きっとそれすら先代犬の時に乗り越えられなかった壁への卒業試験だったのかもしれません。(こんな風に思えるようになるまでには時間がかかりましたが)
おおらかにのびのびと生きる愛犬の姿から、自分の小ささ・枠に気づかされ、たくさんそれを超え、先代犬の分まで共に豊かな思い出をたくさん作ることができたなぁと今は思っています。
この世に絶対的な正解はない
人は正解を選びたいと思った時に悩むのだと思いますが、そもそも絶対的に正しいものはないのだと思います。
- ドッグフードが最適でも手作り食が最適でもありません
- 生食(ローフード)でなければ栄養が摂れないこともありません
- 成犬は一日2食が当たり前でもありません
- 給与量の通りに食べさせなくてはいけないわけでもありません
ただ、
これを踏まえて、ではどうするのが我が家にとって最適なのかを決めることだけが飼い主さんが客観的な視点で決めなければならないのだと思います。
私はこれまでの連載で自分の経験をお話しましたが、自責の念にかられて今も後悔と懺悔と共に生きているわけではありません。
あなたにも食育の勉強を勧め、そうすれば私のように悩みから解放されるというような解決法を提案しているのでもありません。
そもそも、私ほど極端に固執してしまっている人はそう多くないでしょう。
でも、愛犬がフードを食べないということに限らず
- 自分の考えに固執することなく、他にも数多くの方法や考え方があることを知ること
- その中から自分自身でその時にベストだと思えることを判断し決断する力を養うこと
こうしたあなたの枠を広げて一回り大きく成長するためにとても大事なことに気付くチャンスを、愛犬がくれる場合があるということをお伝えしたいのです。
愛犬が本当に求めていることは何だろう?
今はほとんどの人が「犬にはドッグフードを食べさせることが当たり前だし一番いいこと」という前提でいます。
だから「ドッグフードを食べない」ことに悩んでしまったり「トッピングをしなくてもフードを食べる子になってほしい」と願う人がいるのも当然と言えば当然です。
こうした前提があるために、逆の情報が耳に入りづらくなったり、受け入れがたく感じたりして、かつての私ほど極端ではないにしろ、考えが偏りがちになることもあるでしょう。
犬たちはそうした私たちの未熟さを受け入れ、そして時折成長する必要性に気付かせてくれます。
悩むことももちろん貴重な経験ですし、私のような手痛い勉強をすることでさえ、ある意味尊い出来事です。
それを踏まえて、あなたは悩み続けることをやめて、その先を愛犬と生きることもできるということを知ってもらいたいと思っています。
お空に旅立った私の愛犬たちとあなたの愛犬とが繋いだともいえるこの記事を読んで、あなたの心に何かが響き、あなたの愛犬がいつか旅立った後に「あの子のおかげでひとまわり大きくなれた」と感じることができたならいいなと思います。
このような体験を元に、これらの記事を書いています。