間違いだらけの「最初が肝心」にならないために【子犬のお迎え】
子犬のしつけは最初が肝心と言われますが、それは本当にその通りです。
しかし肝心な最初の一歩について、もしも飼い主側が間違った認識をしていたならば・・・
いまだ多くの犬の飼い主さんや飼い主かい予備軍の方が勘違いしているしつけのことについてをお話していきたいと思います。
しつけはルールを教えること。だけど・・・
子犬を家族の一員として迎えたら、双方が快適に暮らすために最低限守るべき家族のルールを決める必要があり、そのルールを子犬に教えるのが「しつけ」であるといえるでしょう。
しかし子犬のすることは困ったことばかりで毎日子犬に振り回されているというのはよくある話です。
そこで新米飼い主さんがやってしまいがちなこととして「いけないことをしたら叱る」というのがあります。
靴やスリッパ、電気コードや椅子の脚をかじってしまう、入ってきては危ないキッチンに入ってこようとする、部屋のあちこちで排泄してしまう・・・
さすがにトイレの失敗で叱る人はだいぶ少なくなったように思いますが、いまだにいけないことしたら厳しい態度でダメだと教えることが正しいとされています。
イタズラは誰のせい?
ここで考えてほしいことがあります。
子犬は元来好奇心旺盛で遊び好きで、犬を飼う時点でそれを知らない人はほとんどいないでしょう。
それなのに、
子犬がイタズラできるものを見えるところに置いたままだったのでは?
子犬が入っては危険なところを入れる状態にしたままだったのでは?
新しい家に来たばかりの生まれて数か月の小さな子犬に、まるで罠のような難易度の高いハードルを与え、自分たちの生活を何一つ変えることなく叱るという罰を与えて覚えさせるというのはいささか酷な話ではないでしょうか?
子犬の飼い主の役割
叱らないことと甘やかすことはイコールではないので、共に暮らす中では時には厳しい態度が必要なことももちろんあるでしょう。
何かを教える・伝える時には、わかりやすく伝わりやすくするためにはどうしたらいいかをまず考えなければならないはずです。
相手は言葉が通じない相手でしかもこの世に生まれて数か月の子犬、そのような相手に対してどうアプローチするのがいいのかを考えることは難しくもありますが、想像力と知恵をもって子犬を思いやってあげてほしい。
精一杯そこに尽力することが飼い主の務めであり責任ではないでしょうか。
ちなみに犬たちも飼い主に何かを伝えようと、わかりやすく伝わりやすくするためにはどうしたらいいかを考えており、その結果が残念なことに愛犬の問題行動とされるケースがしばしばあります。
こうした悲しいすれ違いが起こらないように、日ごろから愛犬をよく観察して意を汲むことが大切です。
子犬へのアプローチのヒント
叱らなければならないシチュエーションのほとんどは飼い主が作っています。
子犬を迎えたらまずは叱らずに済むような環境作りを、そして基本となる教育方針を明確に持ちましょう。
・子犬に自分の部屋を用意する
子犬にとって安全で安心できる自分の部屋としてサークル等を用意し、分別がつくまではしっかり見ていられる時以外はサークルで過ごさせるようにします。
子犬を迎えたばかりのころは子犬も飼い主も双方が新米です。
しっかり見ていられる時間・場所でまずは遊ばせてみて様子伺いをし、段階を経て行動範囲を少しずつ広げていくことで失敗も少なくなります。
片手間にいきなり広い空間に放つようなことをするから、飼い主が想定できないイタズラをしてしまったり、トイレの場所がわからなくてお漏らしをしてしまったりするのです。
・禁止よりも肯定を意識する
子犬は新しい環境でいろんなものに興味を持ちますが、あれをしちゃダメ、これもダメと取り上げて好奇心をつぶしてしまうばかりでは子犬の心身や頭脳の発達に良いとは言えません。
危険なものをあらかじめ排除しておくことを大前提として、いたずらして欲しくないものに興味を向けようとしたときにはすかさず十分に遊んでいいものを与える、望ましい行動がとれた時には一緒に楽しく遊ぶ・簡単なトレーニングをするなどのご褒美を与え、好奇心をつぶさずに活かし伸ばしていくことを心がけてみましょう。
禁止ではなく肯定することを大切に考えてそれぞれの困ったシチュエーションにおいてどのように応用し対応したらいいか知恵を絞るのです。
好奇心の強い子はいたずらの確率が上がる半面とても賢く、正しく導くことでトレーニング能力が高まりますので、飼い主さんも愛犬の能力を活かせるようなアイデアマンになれればベストパートナーとなれるでしょう。
思いやりをもって子犬を育てよう
「子犬のしつけは最初が肝心」といいますが、最初にすべきことがなんであるかを正しく理解していなければすべてが総崩れになってしまいます。
いくらネットや本でよく調べて学んだうえで子犬を迎えても、それが誤った情報であるならば愛犬との暮らしのスタートにとって悪影響しかありません。
こんなときどう対処するかというような悩み解決のHOW TOも時には役に立ちますが、もっと根本的な事が大切なのです。
大切なことは小手先のテクニックよりも思いやりです。
これは当たり前のことのようでいて、いざ犬を迎えるとなると頭でっかちになって忘れてしまいがちになります。
共に生活する新しい家族に対して、どうしたら新しい環境に馴染めるか、怖がらせるばかりでなく褒めながら良い行動を伸ばしていくことができるのか、良質なコミュニケーションを重ね信頼関係を築いていけるのか。
そのことを精一杯考え実践することを惜しまない飼い主さんであって欲しいと願います。