
1話、2話と慢性腎不全と診断されたときに気を付けることや、健康なうちにやっておきたいことについてお伝えしてきました。
慢性腎不全で特に重要なことは、【しっかり食べて体重維持する】でしたね。
3話目の今回は、慢性腎不全と診断されてしまった時にまずしなければならない療法食との付き合い方についてなどを具体的にお伝えしていきます。
フードの切り替え方を教えます!
おそらく慢性腎不全と診断されてしまったら、まずは療法食を勧められると思います。療法食でおなかを壊して合わなかったということは少ないものの、これまで毎日食べていた通常食に比べて嗜好性の面で劣る傾向で、療法食を食べてくれないというお悩みを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで、療法食にうまく切り替える方法についてお伝えします。
とはいっても、本当に基本的なことで
【フードの切り替えはまずは少量混ぜながら行うこと】です。
療法食を勧められたとたんに、この知っているはずの基本を忘れてしまうことが非常に多いのです!!
不治の病だと言われたら今日からすぐに切り替えなければいけないような気持ちになってしまってしまうのも仕方ないかもしれません。しかも獣医さんからは特に切り替えを慎重にするようアドバイスもないことが多く、ほぼ飼い主任せ。これでは初期の段階から躓いてしまい病気の進行を早めてしまうことになりかねません。
慢性腎不全は猶予のある病気です。検査で分かるまで元気にしていて病気の兆候もなかったような子ならなおのこと、帰宅したらすぐに療法食に変えなければ病気が急変するということはないはずです。
まずは落ち着いて、基本通りにいつものフードに療法食を少量混ぜて食べさせて、徐々にその割合を少しずつ増やして数日かけて切り替えていくようにしましょう。
療法食を食べなくても大丈夫なのか心配・・・
療法食を気に入ってくれる子であれば本当にラッキーですが、もし一定の割合を超えると食欲が落ちて食事量が減ってしまうようだったら、元のフードの量の割合を戻してもいいですし、数日後また再チャレンジしてもいいです。その子に合わせたペースで慎重に切り替えていくのが正解です。とにかく食べる総量を減らしてしまわないように気をつけながら、まだ元気なうちに、ゆっくりでもいいから慎重にフードを切り替えていくことがコツです。
うまくいかずに100%療法食にできない日が続いたっていいんです。やってみたけど結局元のフード100%に戻ってしまっても大丈夫。その方が食欲や体重の減少が落ち着き、病状が安定することが分かったのであれば、それはそれで価値ある発見なのです。
慢性腎不全は食欲減退という症状が強く出る病気なので、好きなものや食べれるものが一つでも多くあるということはそれだけ有利なことなので、療法食でもいつもの総合栄養食でも、食べてくれているうちはその割合などで悲観しないでください。
もちろん療法食を勧めた獣医師もその取り組みを評価してくれるはずです。これから先の事を考えれば療法食を食べないで痩せてしまうよりも、元のフードでもいいから食べた方がいいと必ずおっしゃいます。(絶対療法食以外ダメという獣医師は愛犬を助けられません)
療法食への切り替えで量を変化させたり、その日食べる割合を見極めて変化させることに慣れるということは、これから続くホームケアに向けて自分の頭を柔らかくするための準備体操のようなものでもあります。
療法食との付き合い方
初期の段階ではまだ投薬等による対症療法は行われず、療法食に切り替えたりしながらしっかり食事を摂ることがメインとなり、ほぼ飼い主さん次第という重責がいきなりのしかかってきます。食べなくなって痩せてしまうということは治療がうまくいっていないことを表し、病状が進んで実際に数値も悪くなっていることも多いです。
確かに慢性腎不全用の療法食はタンパク質やリンの制限がされていたりして心強いツールのひとつですし、獣医師側としても勧めたものを食べてくれると経過を見やすく治療方針を組み立てやすいなどもあり、最初は療法食を勧められます。
でも、重要なのはしっかり食べて体重維持できていることです。それができた上で、どんな栄養素を控えるといいか等の話になってきます。療法食にしたけどあんまり食べなくなって痩せてしまったのでは本末転倒なのです。
この優先順位を間違えないことが、愛犬が苦しむ時間を少なくすることにも、一緒に過ごす時間を長くすることにもつながります。
もしも療法食に切り替えることに不安があるようでしたら早い段階で獣医師に相談し、食事ケアの見直しや代替え的に組み合わせる治療についてなどを相談すると安心です。日ごろから食が細い子や好き嫌いがある子は特に、フードの切り替えが命取りになるリスクもありますから、必ず療法食に切り替える際には慎重に行い、潔く引き際を見極めて一つのフードに固執しないことです。
最近は必ずしも療法食に変える必要はなく、元のフードをずっと与え続けて構わないという考えの獣医さんも増えています。我が家も2頭目の時の主治医からはこれまでと同じBSKフードを与え続けていいと言われていました。そのせいで進行が早まったという実感はありませんでしたし、一頭目の時のように初期の段階から食べさせられず本当に困るようなこともなく初期段階を過ごすことができました。
市販のオヤツは禁止
慢性腎不全と診断されたら、とにかくしっかり食事を摂ることが最優先となりますので、オヤツを与えることは控えましょう。オヤツは嗜好性が高く、リン含有量も多めのものもあります。嗜好性の高いオヤツはフードの切り替えがうまくいかない原因になったり、特に小型犬の場合はおやつでおなかがいっぱいになって必要量のフードを食べなくなることがあります。
これまでもらえてたオヤツがなくなるのはかわいそうと思うかもしれませんが、おやつだけで体重をキープすることはできない以上、飼い主も愛犬も我慢して受け入れるのが賢明かと思います。できれば病気になる前から、オヤツはごはんを食べたら食後にちょっと与えるなど量やタイミングを考えて与えるようにしておいた方がいいと思います。
もちろんこれまで同様に、食卓からちょっと愛犬になにか食べさせちゃったりも禁止です。今は栄養価の高いドッグフードを中心とした食事をしっかり食べて体重維持をすることが最も重要なので、それを阻害するようなことはしないようにしましょう。
しかし、これも考え方次第で、例えばオヤツ単体で与えるのではなく、粉状にしてフードに振りかけるなどトッピングとして食事の補佐をする用途であれば必要になってくることもあるかもしれません。「しっかり食べる」という目標を見失わずに臨機応変に柔軟に取り組んでいきましょう。
慢性腎不全の愛犬と暮らす心構え
初期の比較的安定した時期を過ぎてくると、体調が悪くて食べられないことも増えてきます。療法食を食べたい日もあれば食べたくない日もある、前のフードを食べる日もあれば食べない日もある、お母さんの手作りを喜んで食べる日もあれば見向きもしない日もある。これを気まぐれと言ってしまうにはあまりに気の毒な体調になってきます。
私たち人間はその日の気分や体調によって、食べたいものや食べられるものが変わり、その時に合ったものを食べていますが、これからは愛犬にもその感覚で向き合うようにライフスタイルが変わったと受け入れてほしいと思います。
たとえ2回3回と連続して拒否されたものだったとしても、この子はこれは食べない、嫌いだと決めつけずに、何度でも様子を見て日を変えて時間を変えて与えてみてください。次は食べれるかもしれません。やっと食べてくれたと思って次の日同じものを与えたら食べないこともあり、これまで何年も同じフードを食べ続けていた感覚のままでは心が折れそうにもなります。もうずっと食べてくれるフード探しのような感覚ではダメなのです。せっかく作ったものを食べてもらえないこともこれから先、何回も繰り返すことになります。
でも、自分や家族が病気になったとき、今の体調だったら何が食べられるだろうと考えるのと同じように、その時の愛犬に寄り添ってその日食べられるものを一緒に探してあげて欲しいのです。
病気になってしまった愛犬にとって最も大切なことは慢性腎不全の治療の基礎となる「しっかり食べて体重を維持すること」です。愛犬にとって大事なことを見失い自分の考えに固執することを優先してしまっていないか、時々向き合って愛犬に必要なケアをしっかり見極められる飼い主さんであってほしいと思います。
最後に、自分自身に固執し続けた飼い主の代表例として、私の1頭目の犬が慢性腎不全になってしまったことで得た学びについての手記をよろしければ読んでみてください。