愛犬が変わるたった一つの方法

あなたが変われば愛犬が変わる。BSKが綴る「飼い主さん矯正マニュアル」

【お悩み改善】手足を舐める癖が直りません


うちの子がずっと手足を舐めたり噛んだりしています。

注意しても気づくとまたやっていて、傷になってしまっています。

無視したらいいと聞いたので、舐めているのを見ても無視するようにしてるのですが、やっぱり舐めています。病院に行っても直りません。

 

 

手足をかじってしまう癖が直らないというのは比較的多いお悩みです。

最初は確かに皮膚や爪などの状態が気になって噛んだりすることから始まり、そのうち癖になって行くというケースが多いようです。皮膚の状態が悪くなっていくことに飼い主さん自身も気になってしまい、なかなか直らないと悩んでしまう方も少なくありません。

今回はその癖が起こるメカニズムと改善のヒントをお伝えします。

飼い主さんの前だけで見せる癖

以前、獣医さんに聞いた話です。
あるワンちゃんがケガをして脚を痛めたということで治療しにきました。治療後しばらくは片足を引きずって歩いていましたが、もう回復してもいい時期になってもずっと脚を引きずっていて、飼い主さんは心配になって再来されたそうです。

検査をしたところ、ケガはもう治っており、しかも獣医さんといる時には普通に歩くことができていました。
しかし、飼い主さんが迎えに来たとたんに、また足を引きずって歩き出したのです!

そのワンちゃんは、足を引きずって歩けば飼い主さんが心配して気にかけてくれることを学んで、脚が治ってからも続けていたのです。

動物たちの行動の原則

動物たちの行動には4つのルールがあります。

  1. ○○をしたらいいことが起こる
  2. ○○をしたら悪いことが起こらない
  3. ○○をしなかったらいいことが起こる
  4. ○○をしなかったら悪いことが起こらない

つまり、先述の犬は「足を引きずっていると飼い主が心配して気にかけてくれる」と学習して行動していたと考えられます。

 

ケガやできものに対して適切な処置をしているにもかかわらず、手足を舐めたり噛んでしまう癖が治らない子は、「噛んでいると飼い主さんが気にしてくれる」と学び、実際にほぼ毎回その通りになるのでやめる理由がない状態であることが考えられます。

心配そうに声をかけられようが、やめなさいと叱られようが、飼い主の気を引くことができることには変わりはありません。

そうして長く繰り返していくうちに、傷が気になっているのか飼い主の気を引いているのかすら意識することなく、暇さえあれば夢中になってやってしまうようになることも少なくありません。

飼い主さんとしても、頻繁に手足を舐めたり噛んだりしていて、そこの皮膚が痛んでいれば、これ以上ひどくならないようにと意識がそちらに向いてしまいがちになるのは当然のことです。

先述の足を引きずって歩いていた犬の飼い主さんもとても愛情深い方で、それゆえ些細なことでも心配になってしまったり、少し甘やかしてしまうところがあったそうですが、そうした愛犬の様子が気になる気持ちが悪循環となり、傷も癖も治る機会を失ってしまうことがあるのです。

無視しても良くならないのはなぜ?

このことから、愛犬が手足を舐めたり噛んだりする癖が直らないというお悩みの解決法として、無視するのがいいとよく言われます。

しかし、どうでしょうか?

声をかけるのもやめて、叱るのもやめたとして、それでよくなった人は意外と少ないのではないでしょうか?

犬は言葉でコミュニケーションを取らない分、人間以上に意識に敏感だと感じたことが愛犬家なら一度はあると思いますが、たとえ声をかけるなどのアクションをしていなくても、心の中で「あ、また噛んでいるな、無視しなければ」などと思ってチラッと見ただけでその意識は伝わってしまうのではないかと思います。

そのため意識的に無視するということは、実際には無視になっておらず、なかなか効果が出にくいのかもしれません。

飼い主さんが他のことに没頭していたりして、本当に気にしなくなったりすると、いつの間にかやらなくなっていたということはあったりします。

悪癖をやめさせる2つの方法

改善の糸口としては、手足を噛んだり舐めたりすることではない、全く違うことに没頭させることを考えてみましょう。

飼い主が自分に注目してくれることを求める習性は、群れをつくる動物は関係性を重視するということから、それ自体が不健全というわけではありません。

健全な【○○したら、飼い主が自分に注目してくれる、遊んでくれる、喜んでくれる】というものを他に作るのです。

BSKでは、この解決法として、十分な運動ドッグトレーニンの二つを提案しています。

犬も自分らしく生きたい

愛犬の問題行動のほとんどは、必要な運動が満たされていないことや、日ごろのトレーニングによって絆を更新する機会が少なく、漠然とした不安や不足を感じているというサインです。

運動とトレーニングの必要性に共通することは、犬たちが犬らしく生きるために必要なことであるということです。

昨今私たち人間の間でも「自分らしく生きる」というテーマで様々なことが語られ、多くの人が関心を寄せ、実現を願っていることと思います。

犬たちも、本来犬としてあるべき姿を生きることが叶えられないことが続けば、心を病んだり、病気になってしまったりしてしまうことがあるのです。

どれほど愛犬を大切に思って毎日食事の世話をして散歩に行き、抱っこして撫でていても、愛犬が本当に望むことはそれではないという悲しいすれ違いが、様々な問題行動の根底にあります。

 

次のページでは具体的な改善方法として、運動とトレーニングについてをお話します。

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