愛犬が変わるたった一つの方法

あなたが変われば愛犬が変わる。BSKが綴る「飼い主さん矯正マニュアル」

食べるフードを探すことを超える特効薬② 思い込みが生んだ悲劇

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腎不全対応の食事への切り替え

診断結果が何かの間違いかのように元気でしたが、とにかく数値はすでに楽観視できない状態で、すぐにでも食事の管理が必要だと言われました。

 

一般的に腎不全は、検査結果で発覚した時にはすでに大きく機能が失われている状態で、なくなった機能は元には戻らないと言われています。それが不治の病ともいわれる所以です。

何か治療方法があるわけでもなく、より長い時間変わらぬ暮らしを維持する、いわゆる生活の質を高めること(QOL)を重視していくことになります。

それが少しでも長く共にいられる時間を延ばすことになるのです。

 

この時の獣医さんには、腎臓に負担の少ない高カロリー低たんぱく食に切り替え、貧血が進むこともあるので痩せて体力を落とすことのないようにと指導されました。

 

腎不全対応のフードを食べてくれない 

病気が発覚したことによって、私はここでまたドッグフード信仰に拍車をかけ「腎不全用ドッグフード以外を食べさせてはいけない」という思いを強めてしまいました。

しかし、もともと食が細くフードを食べさせるのに苦労するような子でしたから、案の定腎不全用の処方フードは口に合わず、フードを変えたり、場合によっては付きっ切りで手から食べさせたりもしましたが、数か月もすると体重も体力も落ちていきました。

病院に行く前までは普通の子と変わらずあんなに元気だったのに、あっという間に覇気のない病気の子になってしまったのです。

 

ようやく方針を変えトッピングに着手

数値が悪くなるにつれ痩せて貧血も進み、見かねた獣医さんからは方針を変え少量のレバーと茹で汁をフードにかけて与えてみる提案をされました。

それからは近所の精肉店で新鮮なレバーを買って毎回茹でて与えて、これまでよりも食べてくれるようになり、少しほっとしました。

しかししばらく続けると、食後に顔が赤くなっていることに気付きました。

どうやらアレルギー反応が起きてしまったようで、せっかく軌道に乗りかけた道がまた閉ざされてしまいました。

 

それからは負担のないもので少しでも食事量を増やせるようにと、獣医さんと相談したり、自分で栄養分析表の本を調べたりしながら、とにかく「低たんぱくで高カロリー」の食材をトッピングしたりし始めました。

 

私が握りしめていたこだわり

でも、すべてが遅すぎました。

その頃にはすでに病状は取り返しがつかないところまで来ていて、誰もがここから状態が上向くという奇跡を信じることは難しかったと思います。

 

私はそれまでずっと、愛犬のためにはドッグフードが健康管理に最適な食事で、それだけ与えることが一番だと強く信じ、それが絶対的に正しいと思っていました。

その思いが「時と場合によって柔軟に対処する」という、ごく当たり前のことへの抵抗感を生み、病気が進行してからも食べさせる手段としてトッピングをすることにすら微量の毒を盛るかのような一抹の不安を抱かせ、気持ちの上で躊躇させました。

 

そして、私の遅すぎるあがきもむなしく、結局一度も状態を上げることができないまま、2005年の春、5歳を迎える前に愛犬を死なせてしまいました。

 

心に巣食う実体のない不安

今になって冷静に考えれば一体何を怖れていたのかと思うわけです。

  • 栄養のバランスが崩れることなのか?
  • 人間の食べ物の味を占めてフードを食べなくなることなのか?
  • 甘やかすことで何か良くないことが起こると思ったのか?

恥ずかしながら、正直よくわからないのです。

 

実際に何か起こったわけでもなく、何がそんなに心配なのかもハッキリさせないままに、ただ闇雲に『犬にはドッグフードが最適』という一般論に流され、後付けでそれが正しいという情報だけを受け入れて、知識だけの根拠を積み重ねて思いを深めていたとしか言いようがありません。

 

こうなりたい、こうあるべき、それが愛犬のためだと思い込んでつい頑張ってしまうことは誰しもあると思います。

でも、頑張りすぎてしまう時には、自分が信じる正しさを守り抜くために躍起になって極端に走ってはいないかと立ち止まる必要があったのです。

 

この経験は、自分の胸の内にある不安(怖れ・弱さ)に向き合うことをせず、外側を変えることで安心を得ようとしていた私の未熟さが生んだ大きすぎる代償でした。

 

 ―――――――――― 続きます


 

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